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アマチュア無線局 JF9OYU/ライセンスフリー無線局 いしかわJK946です。
さて、お昼休みの時間を利用して、軽く散歩がてら無線運用に出かけてきました。向かったのは自宅からほど近い小高い山で、普段から無線のチェックに使っている場所です。標高はそれほど高くはありませんが、周囲が開けているため電波の見通しが良く、短時間の運用でも思わぬ成果が得られることがあります。
この日も特別な目的があったわけではなく、あくまで日常の延長として受信機の電源を入れました。使用したのはデジタル小電力コミュニティ無線機のFM受信機能で、まずはいつものようにバンド内の様子を確認するところから始めます。
日本海側のFM局が一斉に強くなるコンディション
受信を開始して間もなく、普段とは明らかに異なるコンディションであることに気づきました。北陸3県のFM局が安定して入感しているのはもちろんですが、それに加えて新潟や山陰といった日本海側の局が非常に強く受信できています。
77.5MHzのFM新潟、92.2MHzの山陰放送(BSS)のFM補完中継局、そして92.7MHzの新潟放送(BSN)のFM補完中継局はいずれも明瞭で、単に聞こえるというレベルではなく、常用受信に近い安定感がありました。こうした状況から、この時点で上空の電波伝搬条件が通常とは異なっていることは明らかであり、日本海上に何らかの伝搬経路が形成されている可能性を感じました。
94.5MHzで受信した韓国語放送
バンドを上へとスキャンしていく中で、94.5MHzにおいて明らかに異質な信号を捉えました。女性による韓国語のトークと音楽が流れており、その音声は非常に明瞭でした。海外FM特有の不安定さやノイズ感はほとんどなく、終始落ち着いた受信状態が続いています。
通常、この距離の海外FMが入感する場合には、信号の強弱が大きく変動したり、音声が歪んだりすることが多いのですが、このときの94.5MHzはそれとは明らかに異なるものでした。フェージングも少なく、安定した状態で聴取できることから、単なる偶然的な受信ではないと判断し、録音を行いながら内容の確認を進めました。
受信局は大邱仏教放送(BBS-FM)と判明
録音した音声をもとに韓国語の内容を確認したところ、番組内で「イ・ヒョジュのシンシンラジオ」というアナウンスを明確に確認することができました。この情報をもとに照合した結果、受信した局は大邱仏教放送(BBS-FM、HLDI-FM)であると特定することができました。
94.5MHzは大邱の八公山送信所から3kWで発射されている周波数であり、今回の受信内容と完全に一致します。番組は「イ・ヒョジュのシンシンラジオ」で、リスナーからのメッセージ紹介や日常的な話題を中心に構成された音楽トーク番組でした。宗教放送局でありながら、この時間帯は一般向けの親しみやすい内容となっており、日本の昼帯ワイド番組と近い印象を受けます。
トロッポによる受信と判断した理由
今回の受信で最も興味深いのは、韓国・大邱から金沢までの約800kmという距離をどのようにして電波が伝搬してきたかという点です。このような遠距離FM受信では、一般的にスポラディックE層(Es)または対流圏伝搬(トロッポ)のいずれかが関与していると考えられます。
しかし、今回の受信状況を総合的に判断すると、これはEsではなく対流圏伝搬によるものである可能性が極めて高いと考えられます。最大の理由は、受信状態の安定性です。Es伝搬の場合、信号は急激に強くなったり弱くなったりを繰り返し、フェージングも激しくなりますが、今回の94.5MHzは終始安定しており、音声の乱れもほとんど見られませんでした。
さらに、日本海側の複数の局が同時に強く入感していた点も重要です。これは特定の一点からの反射ではなく、広範囲にわたる伝搬経路が形成されていたことを示しており、日本海上にダクトが発生していたと考えるのが自然です。このように広がりを持った受信状態は、トロッポ特有の特徴と一致します。
日本海ダクトの存在を強く感じた受信
今回の受信は、単に海外局が聞こえたというだけでなく、その伝搬メカニズムまで含めて非常に示唆に富むものでした。日本海を挟んだ韓国と北陸の間には、条件が揃えば安定した伝搬経路が形成されることは知られていますが、それを実際に体感できたことは大きな収穫です。
特に印象に残ったのは、海外FMでありながら常用受信に近い品質で聴取できた点です。音声の安定度、信号の持続性、そして同時に複数の遠方局が入感する状況は、いずれもトロッポの典型例といえるでしょう。
まとめ
お昼休みの短い時間を利用した何気ない散歩でしたが、結果として非常に内容の濃い受信となりました。普段と同じ場所、同じ装備であっても、電波のコンディションひとつでこれほど状況が変わるという点に、改めて無線の奥深さを感じます。
今回のような条件は常に再現できるものではありませんが、だからこそ現場に足を運び、実際に電波を受けてみることの重要性を再認識させられました。今後も同様のコンディションが現れた際には、継続して観測と記録を行っていきたいと思います。
本日も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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