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AFN(旧FEN)とは?日本の米軍ラジオ放送を徹底解説【後編】

アマチュア無線局 JF9OYU/ライセンスフリー無線局 いしかわJK946 です。いつもブログをお読みいただきまして、心より感謝申し上げます。

さて、前編では、AFNの成り立ち、FEN時代から日本のラジオ文化に与えてきた影響、そして現在の日本国内AFN各局のうち、AFN TokyoとAFN Misawaについて紹介しました。後編では、AFN Iwakuni、AFN Sasebo、AFN Okinawaの概要を詳しく見ていきます。さらに、日本の放送局には「JOAK」や「JOKR」のようなコールサインがあるのに、なぜAFNには日本のコールサインが見当たらないのか、スマートフォンアプリ「AFN Go」での聴き方、ラジオで受信する楽しみ方、そして2025年に実現したAFN佐世保のFM放送移行についても解説します。AFNは米軍関係者向けの放送でありながら、日本のリスナーにも長く親しまれてきた存在です。その背景を知ると、何気なく聞こえてくる英語のラジオ放送が、より立体的に見えてきます。

AFN Iwakuni(Power 1575)

AFN Iwakuniは、山口県岩国市のアメリカ海兵隊岩国航空基地、いわゆるMCAS Iwakuniを拠点とするAFN局です。岩国基地は、海兵隊航空部隊に加え、空母艦載機部隊なども関係する重要な航空拠点であり、AFN Iwakuniは基地で勤務する軍人、軍属、その家族に向けて、音楽、ニュース、生活情報、基地内外のイベント情報などを届けています。米海兵隊岩国航空基地の公式記事では、AFN Iwakuniが「Power 1575」として、基地関係者と家族に音楽、日々のニュース、情報を届ける存在として紹介されています。

項目内容
局名AFN Iwakuni
愛称Power 1575 / The Eagle
周波数AM 1575kHz
送信出力1kWとされる資料がある
送信地山口県岩国市・岩国航空基地周辺
スタジオ・拠点MCAS Iwakuni
主な対象地域岩国基地周辺、岩国市周辺
主な対象者岩国基地の米軍関係者、軍属、家族

AFN Iwakuniの周波数はAM1575kHzです。AFN Japanのラジオサービス一覧では、岩国、佐世保、三沢がいずれも1575kHzを使用する局として紹介されており、岩国については出力1kW、オンエアIDとして「Power 1575」を使用するとする資料があります。 ただし、AFNは日本の一般放送局のように総務省の放送局免許情報として詳細が公開されているわけではないため、出力や送信地については資料によって表記に差が出る場合があります。本記事では、確認できる資料に基づく目安として紹介します。

AFN Iwakuniの特徴は、基地に密着したローカル色の強さです。2010年の米海兵隊岩国航空基地の記事では、平日朝の「Morning Powerhouse」や午後の「PM Powerplay」といった番組、トップ40を中心とした音楽、基地内情報、天気予報、食堂メニュー、テレビ番組案内、司令官インタビューなどが紹介されています。 つまりAFN Iwakuniは、単に英語の音楽が流れる放送ではなく、基地で暮らす人々の生活を支えるローカルメディアとして機能しているのです。

日本人リスナーから見ると、岩国のAFNは「基地のある街の英語放送」という独特の存在です。周波数の1575kHzは中波帯の高い方に位置し、夜間には電波状況によって遠方で受信できる場合もあります。中波DXやBCLの視点では、同じ1575kHzを使う三沢、岩国、旧佐世保の聞き分けも楽しみの一つでした。ローカルアナウンス、地名、基地名、イベント名などを手がかりに、どこのAFNを受信しているのかを推測するのは、ラジオ受信ならではの面白さです。

また、AFN佐世保のFM化に関する米国防総省系の発表では、佐世保での取り組みを終点とせず、今後は岩国や三沢でもFM放送導入に向けた候補地調査を始めていると紹介されています。 もし岩国でもFM化が実現すれば、基地周辺での屋内受信や音質は大きく改善される可能性があります。AMには遠くまで届きやすい魅力がありますが、現代の生活環境ではノイズの影響を受けやすく、スマートフォン充電器、LED照明、家電製品などからの雑音も無視できません。FM化は、基地関係者にとっては実用性の向上、日本人リスナーにとってはよりクリアな英語放送を楽しめる変化になるでしょう。

AFN Sasebo(Thunder Radio)

AFN Saseboは、長崎県佐世保市の米海軍佐世保基地を拠点とするAFN局です。佐世保は古くから海軍の街として知られ、現在もアメリカ海軍の重要な拠点があります。AFN Saseboは、佐世保基地で勤務する軍人、軍属、その家族に向けて、音楽、ニュース、基地情報、地域情報、緊急情報を届けています。現在の大きな特徴は、2025年6月にFM93.1MHzでの正式放送が始まったことです。米国防総省系の発表によると、AFN Sasebo FM 93.1は2025年6月4日16時、日本時間で正式に認可・開始されたとされています。

項目内容
局名AFN Sasebo
愛称Thunder Radio
現在の周波数FM 93.1MHz
旧周波数AM 1575kHz
旧AM送信出力250Wとされる資料がある
送信地長崎県佐世保市・佐世保基地周辺
スタジオ・拠点米海軍佐世保基地
主な対象地域佐世保市周辺
主な対象者佐世保基地の米軍関係者、軍属、家族

かつてのAFN SaseboはAM1575kHzで放送されており、資料上は送信出力250Wとされています。 しかし佐世保局では、2014年ごろからAM送信設備に深刻な保守上の問題が発生し、2017年にはローカルAMタワーが撤去されました。これをきっかけに、佐世保でFM放送を実現する取り組みが始まり、最終的に93.1MHzでのFM放送が実現しています。

AFN佐世保のFM化は、日本国内のAFNにとって非常に大きな出来事です。米国防総省系の発表では、93.1MHzはAFNにとって日本で70年以上ぶりとなる新たなFM周波数であり、音楽、ニュース、指揮命令情報、台風などの地域安全情報を南日本のリスナーへ届けるための重要な追加能力だと説明されています。 また、Stars and Stripesの報道では、佐世保の93.1FMは3カ月の試験運用を経て正式開始され、従来の弱いAM放送では近隣の住宅地にも十分届かなかった一方、FMによって到達範囲が大きく広がったとされています。

一般的には、AMは遠くまで届きやすく、FMは高音質だがサービスエリアが狭い、と説明されることが多いです。しかし佐世保の場合は、旧AM設備の状態や出力、送信環境の制約により、AM放送が十分な実用エリアを確保できていませんでした。そのため、FM化によって音質だけでなく、実際の受信範囲も改善されたという点が重要です。基地関係者にとっては、災害時や緊急時に情報を受け取りやすくなる効果があり、地域の日本人リスナーにとっても、英語放送や洋楽を気軽に楽しめる環境が広がったことになります。

佐世保では、AFNが単なる基地内放送ではなく、街と基地をゆるやかにつなぐメディアとして機能している点も見逃せません。長崎新聞の記事でも、AFN Saseboが米軍関係者向けに、地域ニュース、台風への備え、ごみの出し方、日本の交通ルールなどを紹介し、地域社会との共生に一役買っている様子が紹介されています。基地で暮らす人々が地域のルールを知り、地域で安全に暮らすための情報を得る。その意味でAFN Saseboは、英語の音楽が流れる放送局であると同時に、佐世保という街で暮らすための生活メディアでもあるのです。

AFN Okinawa(Wave 89 / Surf 648)

AFN Okinawaは、日本国内のAFN各局の中でも特に規模が大きく、存在感のある放送局です。沖縄には在日米軍施設が集中しており、AFN Okinawaは多くの軍人、軍属、家族に向けて、ラジオ、テレビ、ニュース、緊急情報などを提供してきました。DVIDSの記事では、AFN Okinawaは「Wave 89.1 FM」と「Surf 648 AM」というローカルAFNラジオ局を担当し、テレビ向けのローカルニュースや司令部メッセージも制作していると紹介されています。

項目内容
局名AFN Okinawa
愛称Wave 89 / Surf 648
FM周波数89.1MHz
AM周波数648kHz
FM送信出力20kWとされる資料がある
AM送信出力10kWとされる資料がある
FM送信地嘉手納基地周辺とされる
AM送信地キャンプ・キンザー周辺とされる
スタジオ・拠点キャンプ・フォスター周辺
主な対象地域沖縄本島を中心とする地域
主な対象者沖縄県内の米軍関係者、軍属、家族

AFN Okinawaの大きな特徴は、AMとFMの両方を運用していることです。資料上、AMは648kHz、FMは89.1MHzで、AM648kHzは「Surf 648」、FM89.1MHzは「Wave 89」の愛称で知られています。 また、周波数・出力資料では、AM648kHzがキャンプ・キンザーから10kW、FM89.1MHzが嘉手納基地から20kWとされています。

沖縄のAFNは、1945年5月17日から沖縄に駐留する部隊向けに情報、軍事ニュース、娯楽番組を提供してきたとされます。DVIDSの記事では、AFN Okinawaが島内11の軍事施設にいる軍人、家族、民間人、契約業者、退役者など約6万人規模の対象者へ向けて放送を行い、地域の日本人リスナーにも聞かれていると紹介されています。

沖縄では台風や海象情報、基地周辺の交通、イベント、司令部からの連絡など、生活や安全に直結する情報の重要度が高くなります。AFN Okinawaは、アメリカ本国の音楽やニュースを届けるだけでなく、沖縄で暮らす米軍関係者が日々の判断をするための情報源として機能してきました。特に台風接近時や緊急時には、英語で迅速に情報を得られる放送が重要になります。

日本人リスナーにとっても、AFN Okinawaは独特の魅力があります。沖縄本島ではFM89.1MHzで比較的クリアに聞こえる地域があり、車のラジオで偶然AFNに出会う人もいるでしょう。洋楽、英語、基地の街らしいローカル情報が混ざり合う放送は、沖縄という土地の文化的な多層性を感じさせます。AM648kHzは中波として遠距離受信の対象にもなり、条件がよければ沖縄県外で受信を試みる楽しみもあります。

日本国内AFN各局の比較一覧

ここまで紹介した日本国内のAFN各局を、周波数と送信出力、送信地の観点から整理すると次のようになります。なお、AFN各局の出力や送信地は、日本の民間放送局のように総務省の放送局免許情報として簡単に確認できるものではありません。そのため、以下の表では、AFN関連資料、米軍関係資料、公開されている周波数情報などをもとにした確認可能な範囲の情報として掲載します。とくに出力については、時期や設備更新により変わる可能性があるため、現地での受信状況や最新の公式案内もあわせて確認したいところです。

局名主な拠点周波数出力の目安送信地・備考
AFN Tokyo横田飛行場AM 810kHz50kW送信所は埼玉県和光市とされる
AFN Misawa三沢飛行場AM 1575kHz600W三沢基地周辺
AFN Iwakuni岩国航空基地AM 1575kHz1kW岩国基地周辺
AFN Sasebo佐世保基地FM 93.1MHzFM出力は資料確認中旧AM1575kHzは250Wとされる
AFN Okinawa沖縄の米軍施設FM 89.1MHz / AM 648kHzFM20kW / AM10kWとされるFMは嘉手納、AMはキャンプ・キンザーとされる

この表を見ると、AFN TokyoとAFN Okinawaが比較的大きな出力を持つ一方で、三沢、岩国、旧佐世保はローカル向けの小規模な中波局として運用されてきたことがわかります。特に東京の810kHz・50kWは首都圏を広くカバーする代表的な存在で、沖縄の89.1MHz・648kHzも、沖縄県内の米軍関係者が多い地域性を反映した重要な放送です。一方、三沢、岩国、佐世保は1575kHzを共有してきた局で、通常はそれぞれの基地周辺を主なサービスエリアとしていました。

なぜAFNには日本のコールサインがないのか

日本のラジオ局には、NHK東京第1放送のJOAK、TBSラジオのJOKR、文化放送のJOQR、ニッポン放送のJOLFのように、アルファベットで始まるコールサインが割り当てられています。これは、電波法令上の識別信号の一種であり、無線局を識別するための符号です。JARDの法規解説でも、識別信号は無線局を識別するための個別の符号で、電波法令では呼出符号や呼出名称などが含まれると説明されています。

では、なぜAFNには「JO」で始まる日本のコールサインがないのでしょうか。大きな理由は、AFNが日本の一般放送事業者として免許を受けた民間放送局やNHKの放送局ではなく、在日米軍が運用する放送・通信設備として位置づけられているためです。在日米軍の施設・区域は日本の領域であり、日本政府が米国に対して使用を認めているもので、外務省の日米地位協定Q&Aでも、米軍施設・区域はアメリカの領土ではなく日本の領域であると説明されています。

ここで誤解してはいけないのは、「米軍基地だから日本の法律がまったく及ばない」という話ではないという点です。米軍施設・区域は日本の領域であり、外務省もその点を明確に説明しています。 そのうえで、在日米軍の活動は日米安全保障条約や日米地位協定、その実施に関する日米合同委員会合意などに基づいて運用されています。AFNもその枠組みの中で、米軍関係者向けの情報提供手段として運用されているため、日本の一般放送局のようなJOAK型のコールサインを前面に出して放送しているわけではありません。

したがって、AFNを日本のラジオ放送と同じ感覚で見ると少し混乱します。周波数を使って一般のラジオでも聞こえるため「放送局」に見えますが、その制度上の位置づけは、NHKや民放とは異なります。リスナーにとっては「AFN Tokyo」「AFN Iwakuni」「AFN Sasebo」「AFN Okinawa」という局名が実質的な識別名であり、オンエア上でもそれらの名称や愛称が使われます。

AFN GoアプリでAFNを聴く方法

現在、AFNはラジオの電波だけでなく、スマートフォンアプリ「AFN Go」でも聴くことができます。AFN Goは、American Forces Networkの公式音声ストリーミングサービスで、App Storeの説明では、国外にいる対象リスナー向けに、地域のAFN The Eagle局、為替、天気、交通情報、地域別の緊急プッシュ通知などを提供するアプリとされています。

項目内容
アプリ名AFN Go
提供元Defense Media Activity
料金無料
対応端末iPhone、iPad、Android端末
主な機能AFNラジオのストリーミング、地域局選択、天気、交通、為替、緊急通知
アカウント登録不要と説明されている
注意点地域や通信環境により再生できない場合がある

使い方は難しくありません。スマートフォンでApp StoreまたはGoogle Playを開き、「AFN Go」と検索してアプリをインストールします。起動後、地域や放送局の一覧から「Tokyo」「Misawa」「Iwakuni」「Sasebo」「Okinawa」など聴きたい局を選び、再生ボタンを押すだけです。アプリではラジオ局だけでなく、地域情報や通知機能も利用できます。App Storeの説明でも、AFN Goは無料で、ユーザーアカウントや登録を必要としないと案内されています。

ただし、AFN GoはあくまでAFNの公式サービスであり、利用できる地域や配信状況は変更される場合があります。レビュー欄には「地域で利用できない」と表示されたという声も見られるため、必ず常にどこでも聴けるとは限りません。 それでも、電波が届かない地域からAFNの雰囲気を楽しめる手段としては非常に便利です。金沢や北陸のようにAFNの地上波を安定して受信しにくい地域でも、アプリを使えばAFN TokyoやAFN Okinawaなどを気軽に聴くことができます。

ラジオでAFNを受信する楽しみ方

AFNはアプリで聴くのが便利な時代になりましたが、ラジオで受信する楽しみは今も残っています。特にAM放送は、季節、時間帯、天候、アンテナ、受信機の性能によって聞こえ方が変わるため、単に音声を聞くだけではない面白さがあります。AFN Tokyoの810kHzは出力が大きく、関東地方では比較的受信しやすい局です。夜間には電離層反射によって遠方まで届くことがあり、北陸や東海、東北、近畿などでも受信できる場合があります。

三沢、岩国、旧佐世保が使ってきた1575kHzは、AFNファンにとって興味深い周波数です。同じ周波数に複数のAFN局が存在していたため、どの局が聞こえているのかを判別する楽しみがありました。ローカル番組、地名、基地名、電話番号、天気情報、イベント案内などが聞こえれば、受信局を特定するヒントになります。まさにBCLらしい楽しみ方です。

FMでは、佐世保の93.1MHz、沖縄の89.1MHzが注目されます。FMはAMよりも音質がよく、雑音が少ない一方で、基本的には見通し距離に近い範囲での受信が中心です。ただし、夏場のスポラディックE層、いわゆるEスポが発生すると、通常では届かない遠方のFM局が突然聞こえることがあります。沖縄のFM89.1MHzや佐世保のFM93.1MHzも、条件次第では思わぬ地域で受信対象になる可能性があります。もちろん、安定して聞くなら現地周辺が基本ですが、ラジオ受信の世界では「聞こえるはずがないものが聞こえた瞬間」に大きな魅力があります。

AFN佐世保FM化の意味

今回の記事の締めくくりとして、改めてAFN佐世保のFM化に注目したいと思います。AFN SaseboのFM93.1MHzは、2025年6月4日に正式認可され、日本時間16時に公式なFM放送として開始されました。米国防総省系の発表では、これはAFNにとって日本で70年以上ぶりの新たなFM周波数であり、佐世保の米軍関係者と地域コミュニティにとって大きな前進だとされています。

このFM化の背景には、2014年から始まったAM送信設備の保守問題がありました。2017年にはローカルAMタワーが撤去され、その後、AFN佐世保は地上波で十分な放送能力を発揮しにくい状態が続きました。そこから日本政府との調整、試験運用、正式認可を経て、FM93.1MHzの放送開始に至ったわけです。

FM化によって得られるメリットは、音質の向上だけではありません。佐世保では、旧AM放送が近隣の住宅地にも十分届かないほど弱かったと報じられており、FM化によって基地外を含む佐世保市内での到達性が改善されました。 これは、音楽を楽しむためだけでなく、台風、災害、基地関係の緊急情報を届けるうえでも重要です。AFNの放送は、米軍関係者とその家族にとって、日々の生活と安全に関わる情報インフラだからです。

さらに興味深いのは、この佐世保のFM化が他地域への展開のきっかけになる可能性があることです。米国防総省系の発表では、AFN側が岩国や三沢でもFM放送能力を導入するための候補地調査を始めていると述べています。 もし今後、AFN IwakuniやAFN MisawaもFM化されれば、日本国内のAFNラジオは大きな転換期を迎えることになります。

ラジオの世界では、AMからFMへの移行というテーマは日本の民放AM局にも共通しています。日本国内でもFM補完放送、いわゆるワイドFMの整備が進み、AM停波の実証実験や将来的な制度変更が話題になっています。その中でAFN佐世保のFM化は、米軍放送という特殊な枠組みの中で起きた出来事でありながら、ラジオ放送全体の流れとも重なって見えます。AMの遠達性とFMの音質・屋内受信性、それぞれの長所と課題をどう使い分けるか。AFN佐世保の事例は、その一つの答えとも言えるでしょう。

まとめ

AFNは、在日米軍関係者に向けた放送でありながら、日本のラジオ文化、洋楽文化、英語学習、BCLの世界にも大きな足跡を残してきました。前編で紹介したAFN TokyoやAFN Misawaに続き、後編ではAFN Iwakuni、AFN Sasebo、AFN Okinawaを見てきましたが、それぞれの局には地域ごとの役割と個性があります。岩国は基地に密着したローカル局として、佐世保はFM化によって新たな時代に入った局として、沖縄はAMとFMの両方を持つ大規模なAFN拠点として、それぞれ異なる姿を見せています。

また、AFNには日本の放送局のようなJOAK型のコールサインが見当たりません。これはAFNが日本の一般放送事業者ではなく、在日米軍の情報提供手段として運用されているためです。ただし、米軍施設は日本の領域であり、日本の法令と日米間の取り決めの中で運用されている点は押さえておく必要があります。

現在では、AFN Goアプリを使えば、地上波の電波が届かない地域でもAFNを聴くことができます。一方で、ラジオで受信する楽しみも失われてはいません。810kHzのAFN Tokyo、1575kHzの岩国や三沢、648kHzと89.1MHzの沖縄、そして93.1MHzへ移行した佐世保。周波数を知り、時間帯を選び、耳を澄ませることで、AFNは今もラジオならではの楽しみを与えてくれます。

とりわけAFN佐世保のFM93.1MHzへの移行は、日本のAFNにとって象徴的な出来事です。2014年のAM設備問題から10年以上を経て実現したFM化は、音質や受信エリアの改善だけでなく、基地関係者と地域社会をつなぐ情報インフラの再整備でもあります。FENの時代から続いてきた米軍ラジオ放送は、AFNという名前になり、さらにアプリやFM放送という新しい形を取り入れながら、今も日本の空に電波を送り続けています。

参考・出典

American Forces Network公式サイト、AFN Go公式ページ、AFN Go App Store掲載情報、米国防総省系発表「AFN Succeeds in Bringing FM Radio to Sasebo, Japan」、DVIDS「American Forces Network is lifeline to information on Okinawa」、Marine Corps Air Station Iwakuni公式記事「AFN: Keeping Iwakuni entertained, informed through Power 1575」、Stars and Stripes「American Forces Network radio is expanding its FM reach in Sasebo, Japan」、外務省「日米地位協定Q&A」、JARD法規用語解説「識別信号」などを参照しました。

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