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アマチュア無線局 JF9OYU/ライセンスフリー無線局 いしかわJK946です。
さて、2026年6月21日(日)、一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)の第15回定時社員総会が東京都内で開催されました。
JARLにおける「社員」とは職員のことではなく、会員による選挙で選ばれ、社員総会で議決権を行使する代議員のことです。今回の総会では、令和7年度決算や定款・規則の改正、役員の選任などが審議されました。決算と定款・規則の改正は可決された一方、理事候補者のうち2名は社員の過半数の賛成を得られず、理事への選任が否決されました。
そして、総会の審議中に出席社員と議長団との間で混乱が生じ、110番通報を受けた警察官が会場に臨場するという、極めて残念な事態が起きたと報じられています。議事は約30分間中断し、議長と副議長が警察官から事情を聴かれるために退席し、別の社員が議長団を務めて総会を続行するという異例の展開になったようです。
ただし、この記事を執筆している6月22日(月)時点では、JARLから正式な議事録や詳しい経過説明は公開されていません。インターネット上には映像やさまざまな証言が出回っていますが、誰が何を発言し、どのような経緯で事態がエスカレートしたのかについては、今後の公式発表を待つ必要があります。
どのような不満があっても実力行使は許されない
まず、どのような理由があったとしても、議論の場で威嚇や暴力、実力行使と受け取られる行動に出ることは許されません。
議事の進め方に納得できない、発言を十分に聞いてもらえない、執行部の説明に疑問がある。そのような不満があったとしても、本来は言葉と手続きによって解決すべきです。ましてや社員は、一般会員から負託を受けて総会に出席している立場です。自らの考えだけでなく、自分に一票を投じた会員の思いも背負っていることを忘れてはなりません。
その一方で、今回の問題を特定の個人の行動だけに集約し、「その人が悪かった」で終わらせてしまってよいのでしょうか。
もちろん、個人の行為に対する責任と、組織運営上の問題は分けて考えなければなりません。しかし、警察官が臨場するほどの事態に至った背景に、これまで積み重なってきた対立や不信感がなかったのかについても、JARLは検証する必要があると思います。
直接的な原因と、事態を生んだ背景は分けて考えたい
今回、混乱が生じたのは役員選任に関する審議の最中だったと報じられています。
2026年の通常選挙で理事候補者に選ばれた人物について、理事会が社員総会の選任議案に意見を付すことを決め、さらに社員からも、その人物を理事として選任しないよう求める議案が提出されていました。法律や定款に基づく手続きであったとしても、選挙で選ばれた候補者の就任を社員総会で否決するかどうかを巡り、強い緊張が生じやすい議題だったことは間違いありません。
多数決によって物事を決めることは、組織運営に欠かせないルールです。しかし、多数決とは、少数意見を聞かなくてよいという意味ではありません。
少数意見を十分に聞き、疑問に丁寧に答え、反対する人にも判断の根拠を説明したうえで、最後に多数決によって結論を出す。それが本来の民主的な組織運営ではないでしょうか。
決議が手続き上正しかったとしても、その過程に納得感がなければ、不満や不信感は残ります。「すでに決まったことだから」「多数が賛成したから」という説明だけでは、組織内の溝を埋めることはできません。
今回の警察臨場が、少数意見に耳を傾けない体制や不透明な組織運営だけによって引き起こされたと断定することはできません。しかし、異なる意見を持つ人が「何を言っても聞いてもらえない」と感じるような環境があったとすれば、そのこと自体は組織として真摯に受け止める必要があります。
現執行部の取り組みも正当に評価したい
一方で、現在の執行部が情報公開や組織運営の透明化に取り組んでいないわけではありません。
近年は、社員から提出された準備書面と執行部の回答を総会前に公開することや、理事会報告を以前より詳しく記載することなど、改善の動きも見られます。過去の会計問題について調査結果を公表し、組織として対応を進めてきたことも事実です。
こうした取り組みは正当に評価されるべきでしょう。
しかし、情報を公開することと、相手が納得できるように説明することは、必ずしも同じではありません。資料を掲載しただけで終わるのではなく、「なぜこの判断をしたのか」「反対意見をどのように検討したのか」「今後どのように改善するのか」まで、分かりやすく伝えることが求められます。
今回の社員総会もZoomによる傍聴が行われましたが、対象はJARL会員に限られ、希望者多数のため抽選となりました。会場で何が起き、どのような議論が交わされたのかを知る機会が限られている以上、総会後の速やかな説明と記録の公開は、これまで以上に重要になります。
JARLには、今回の出来事について、誰かを一方的に非難するためではなく、再発を防ぐための事実確認と説明を行ってほしいと思います。議事進行、発言機会の確保、会場の安全管理、混乱が生じた場合の対応方法なども含めて検証し、会員に報告することが必要ではないでしょうか。
地方本部や支部も「開かれた組織」であってほしい
これはJARL本部だけの問題ではありません。
地方本部や各都道府県支部の運営に携わる方々にも、改めて考えていただきたいことがあります。
長年活動を続けてきた人たちの経験や人脈は、地域のアマチュア無線活動にとって大切な財産です。しかし、いつも同じ顔ぶれだけで話し合い、役割や方針が仲間内で決まっているように見えてしまえば、新しく入会した人や若い世代は参加しにくくなります。
本人たちに閉鎖的なつもりがなくても、外から見て「身内だけで運営している組織」と受け取られれば、それだけで新しい人を遠ざける原因になります。
支部行事の案内だけでなく、どのような方針で活動しているのか、誰がどのような役割を担っているのか、会員から寄せられた意見をどのように扱っているのかも、可能な範囲で発信してほしいと思います。
役員と親しい人だけでなく、初めて参加する人、異なる考えを持つ人、これからアマチュア無線を始めようとしている人にも扉を開く。そうした姿勢が、地域におけるJARLへの信頼につながるのではないでしょうか。
JARLは誰のために存在するのか
JARLは、役員や社員、地方本部長、支部長のためだけに存在する組織ではありません。
アマチュア無線を楽しむすべての人のために存在し、日本のアマチュア無線を社会に代表する組織であるはずです。
アマチュア無線家にとって、周波数は活動の基盤です。今あるアマチュアバンドが将来も維持され、安心して運用できる環境を守るためには、行政や国内外の関係機関に対して、アマチュア無線界を代表する組織が必要です。
また、会員にとっては、QSLカードの転送がJARLに入会する大きな理由の一つです。2026年にはQSLビューローの委託先が変更され、発送の遅れやシステム上の問題も発生しました。JARL自身も、QSLカードの転送を最も重要な会員サービスの一つと位置づけています。会員が安心して利用できるよう、転送業務の正常化と、発送状況や改善状況の継続的な説明を願っています。
そのほかにも、バンドプラン、レピータ、コンテスト、アワード、非常通信、青少年育成、国際的な調整など、JARLが担っている役割は決して小さくありません。
だからこそ、内部対立によって組織の力が削がれ、アマチュア無線家や会員に不利益が及ぶことは避けなければなりません。
JARLをなくしたいのではなく、よりよい組織になってほしい
私は、今回の出来事を理由にJARLそのものを否定したいわけではありません。
むしろ、JARLにはこれからも存在してもらわなければ困ります。
アマチュアバンドを守り、QSLカードの転送を安定して続け、初心者や若い世代を支え、社会にアマチュア無線の意義を伝える。その役割を担える全国組織は、JARL以外にはありません。
だからこそ、執行部を支持する人の意見だけでなく、批判的な意見や少数意見にも耳を傾けてほしいのです。同時に、執行部に異議を唱える側も、ルールと節度を守り、言葉と手続きによって考えを伝えなければなりません。
組織を良くしたいという目的が同じであっても、手段を誤れば、一般の人からは単なる内輪もめにしか見えなくなってしまいます。
アマチュア無線を純粋に楽しんでいる人、これから始めようとしている人、そして、アマチュア無線に理解と協力を寄せてくださっている一般の方々からも、信頼され、認められる組織であってほしいと思います。
JARLは2026年に創立100周年を迎えました。この節目を、過去の対立を引きずるためのものではなく、新しい組織へ生まれ変わる出発点にしてほしいものです。
私も一会員として、批判するだけで終わるのではなく、JARLがどのように説明し、どのように改善していくのかを、これからもしっかりと見届けていきたいと思います。
異なる立場やさまざまな意見を受け止めながら、アマチュア無線家にとっても、JARL会員にとっても、そして社会にとっても信頼される組織へ――。
よりよいJARLに生まれ変わってくれることを、心から願っています。
本記事は2026年6月22日(月)時点で公開されている情報をもとに執筆しています。社員総会の詳しい経過や当事者の行為については、今後公開されるJARLの公式発表や議事録を確認する必要があります。
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