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エフエム石川の決算公告を読む〜財務は堅いが本業黒字化が課題の地方FM局〜

いつもブログをお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
アマチュア無線局 JF9OYU/ライセンスフリー無線局 いしかわJK946です。

さて、早速ですが、エフエム石川の決算公告から読み解く地方のFM局の経営について、少しだけ触れてみたいと思います。

株式会社エフエム石川の第32期から第36期までの決算公告を読み解くと、同社の経営状態には、はっきりとした特徴が見えてきます。

結論から言えば、エフエム石川は売上規模こそ大きくないものの、自己資本が厚く、資金面ではかなり安定した地方FM局です。一方で、放送事業そのものの収益力には課題があり、営業損益では5期連続で赤字となっています。

つまり、ひと言で表すなら、本業で稼ぐ力の回復が課題の局と言えるでしょう。

32期から36期までの業績推移

まず、主要な数値を整理します。

決算期売上高営業利益経常利益当期純利益純資産自己資本比率
第32期・2021年3月期約2.49億円約△1,980万円約△1,573万円約△1,834万円約8.18億円約88.8%
第33期・2022年3月期約2.56億円約△964万円約△131万円約100万円約8.26億円約88.5%
第34期・2023年3月期約2.56億円約△808万円約△612万円約△4,843万円約7.77億円約90.6%
第35期・2024年3月期約2.44億円約△139万円約752万円約687万円約7.83億円約92.0%
第36期・2025年3月期約2.59億円約△127万円約331万円約185万円約7.84億円約92.7%

第32期の売上高は2億4,878万円、第36期は2億5,873万円で、5年間で見ると約4.0%の増加です。大きな成長とは言えませんが、地方ラジオ局を取り巻く環境を考えれば、売上規模はおおむね維持していると見ることができます。第32期の売上高・営業損失・当期純損失は決算公告の損益計算書で確認でき、第36期も売上高2億5,873万円、営業損失127万円、当期純利益184万円と記載されています。

ただし、売上の中身を見ると変化があります。第32期の放送事業収入は約2.26億円でしたが、第36期は約2.17億円へ減少しています。一方、その他事業収入は第32期の約2,255万円から、第36期には約4,206万円まで増えています。

これは、従来型の放送広告収入だけで売上を伸ばしているのではなく、イベント、制作、タイアップ、関連事業など、放送外収入の比重が高まっている可能性を示しています。第36期では、その他事業収入が売上全体の約16.3%を占めています。

【出典】
株式会社エフエム石川 決算公告
https://hellofive.jp/company/kessan/

本業の営業赤字は縮小傾向

エフエム石川の最大の課題は、営業損益です。

第32期から第36期まで、営業利益はすべてマイナスです。つまり、通常の営業活動だけで見ると、5期連続で営業赤字となっています。

しかし、赤字幅は大きく縮小しています。第32期は約1,980万円の営業損失でしたが、第36期には約127万円の営業損失まで改善しています。これは、ほぼ損益分岐点に近いところまで改善してきたと見ることができます。

第35期、第36期はいずれも営業段階では赤字ながら、経常利益・当期純利益は黒字です。これは、受取利息や配当金などの営業外収益が営業損失を補っているためです。第36期では、営業損失127万円に対し、営業外収益が458万円あり、結果として経常利益331万円、当期純利益184万円を確保しています。

この点から、エフエム石川は財務収益も含めれば黒字を確保できるが、本業単体ではまだ十分に稼げていない状態だと考えられます。

第34期の大幅赤字は本社移転費用の影響が大きい

5期の中で特に目立つのが、第34期の当期純損失約4,843万円です。

この期は、売上高そのものは約2.56億円で、第33期とほぼ同水準でした。しかし、特別損失として本社移転費用約4,172万円が計上されています。これが最終赤字を大きくした主因と見られます。

また、第34期の個別注記表では、演奏所の移転に伴う設備の全面更新を契機に、放送業用設備の耐用年数を従来の6年から15年へ、放送用アンテナを10年から20年へ変更したことが記載されています。この変更により、減価償却費は従来方法と比べて1,116万8千円減少したとされています。

つまり、第34期は通常の営業不振だけで大赤字になったというより、本社・演奏所移転という大きな設備更新イベントを反映した特殊な期と見るべきです。

財務体質は非常に堅い

一方で、貸借対照表を見ると、エフエム石川の財務体質はかなり堅実です。

第36期時点で、資産合計は約8.45億円、負債合計は約6,155万円、純資産は約7.84億円です。自己資本比率は約92.7%に達します。現金預金も約3.26億円あり、売上高の1年分を上回る水準です。

地方メディア企業としては、かなり安全性の高い財務内容と言えます。借入金の記載も見当たらず、資金繰り面でただちに大きな不安がある会社ではありません。

ただし、気になる点もあります。第36期の利益剰余金は約△2,399万円で、まだマイナスです。これは、第34期の大幅赤字の影響が残っているためと考えられます。資本剰余金が7.2億円あるため純資産全体は厚いものの、利益剰余金ベースでは累積損失を解消し切れていません。

したがって、今後のポイントは、単年度黒字を継続し、利益剰余金をプラスに戻していけるかどうかです。

他のFM単営局と比べたエフエム石川の立ち位置

他のFM単営局と比べると、エフエム石川の売上規模はかなり小さい部類です。

たとえば、J-WAVEの2025年3月期売上高は約53.06億円、FM802は約41.56億円、FMヨコハマは約21.13億円、bayfmは約17.62億円です。これに対して、エフエム石川の第36期売上高は約2.59億円です。首都圏・関西圏の有力FM局とは、売上規模に大きな差があります。

一方で、財務安全性という観点では、エフエム石川は決して見劣りしません。第36期の自己資本比率は約92.7%です。bayfmの2025年3月期は純資産約25.72億円、総資産約28.94億円で自己資本比率は約88.9%、FM802は純資産約27.25億円、総資産約36.85億円で約73.9%です。規模では及ばないものの、自己資本比率ではエフエム石川の方が高い水準にあります。

地方FM局との比較では、広島エフエム放送の2025年3月期総資産は約14.02億円、エフエム栃木は約12.76億円です。エフエム石川の総資産約8.45億円は、これらより小さいものの、極端に小さな水準ではありません。資産規模では、地方県域FM局の中で中位からやや小ぶりなポジションと見てよいでしょう。

エフエム石川の課題と可能性

エフエム石川の今後の課題は明確です。

第一に、営業黒字化です。営業損失は第36期で約127万円まで縮小しており、あと一歩のところまで来ています。ここを安定的に黒字化できれば、財務の見え方は大きく変わります。

第二に、放送事業収入の下支えです。第32期から第36期にかけて、放送事業収入はやや減少しています。一方で、その他事業収入は増加しています。この流れを見ると、従来型のスポットCM・タイムCMだけに依存するのではなく、地域イベント、自治体・企業とのタイアップ、観光・防災・地域情報、デジタル配信、SNS連動企画などをどう収益化するかが重要になります。

第三に、利益剰余金の回復です。純資産は厚いものの、利益剰余金はまだマイナスです。単年度黒字を積み重ね、累積損失を解消できれば、財務の健全性はさらに高まります。

まとめ

エフエム石川は、売上規模だけを見ると、首都圏・関西圏の有力FM局とは大きな差があります。地方県域FM局の中でも、決して大きな局ではありません。

しかし、財務内容を見ると、自己資本比率は90%を超え、現金預金も厚く、非常に堅実な経営基盤を持っています。

一方で、営業損益は5期連続で赤字です。赤字幅は大きく縮小しているものの、本業でしっかり利益を出すところまでは、まだ到達していません。

したがって、エフエム石川の現在地は、「規模は小さいが、財務は堅い。次の課題は本業の営業黒字化」という表現が最も近いでしょう。

地方FM局は、単なる音楽放送や広告媒体にとどまらず、地域情報、防災、観光、イベント、コミュニティ形成を担う地域メディアです。エフエム石川がその地域性をどう収益に結びつけていくのか。今後の決算では、売上高そのもの以上に、営業損益の黒字化と、その他事業収入の伸び方に注目したいところです。

放送技術職(正社員)

エフエム石川では、放送技術職(正社員)を募集しているそうです。

応募資格は、大学等卒業者(大学等とは、大学院、4年制大学、短期大学、高等専門学校(専攻科含む)、及び専修学校専門課程(修業年限2年以上)とします)、普通自動車免許(AT限定可)、第一級または第二級陸上無線技術士免許所持者となります。

求職中の方で、放送の技術分野に興味のある方は応募してみてはいかがでしょうか。

https://hellofive.jp/company/saiyojoho

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