第1回ホクリク・デジコミーティング出張編開催のお知らせ

アマチュア無線の略語・専門用語を徹底解説!CQ、73、OM、FB、リグ、パイルアップまで【Q符号以外編】

アマチュア無線局 JF9OYU/ライセンスフリー無線局 いしかわJK946 です。いつもブログをお読みいただきまして、心より感謝申し上げます。

さて、アマチュア無線の交信を聞いていると、「CQを出す」「DXを狙う」「73を送る」「FBなリグですね」「今日はWXが悪い」「パイルアップになっている」といった、日常生活ではあまり使わない言葉が次々に登場します。

前回の記事では、QRM、QRP、QRZ、QSL、QSO、QTHなど、アルファベットの「Q」で始まるQ符号を取り上げました。しかし、アマチュア無線で使われる略語や専門用語は、Q符号だけではありません。

CQやDEのように国際的な通信手順として使われる符号、73や88のように電信時代から受け継がれた数字、FBやTNXのようにCWで送信時間を短縮するための略語、OMやYLのようにアマチュア無線独自の文化から生まれた呼び方、さらにリグ、シャック、ラグチュー、パイルアップといった慣用語があります。

これらはすべて同じ種類の「無線用語」に見えますが、その成り立ちは異なります。法令や国際的な通信手順に掲載されているものもあれば、世界のアマチュア無線家に広く通じる慣用表現、日本国内でしか通用しにくい表現もあります。

この記事では、Q符号以外の代表的な略語・数字・専門用語について、本来の意味、実際の使われ方、使用例、初心者が間違えやすいポイントまで詳しく解説します。

アマチュア無線で略語が使われる理由

アマチュア無線の略語の多くは、モールス通信を効率よく行うために発達しました。CWではアルファベットを1文字ずつ送るため、「THANKS FOR YOUR CALL」と送るより、「TNX FER CALL」と略した方が短時間で伝えられます。

また、世界中のアマチュア無線家が同じ略語を使えば、英語を母語としない者同士でも、ある程度の意思疎通ができます。「UR RST 599」「TNX FB QSO」「73」といった短い文だけでも、シグナルレポート、交信への感謝、別れの挨拶を伝えられるのです。

ただし、これらの略語を数多く使うことが上級者の証しというわけではありません。電話交信では普通の日本語や英語を使った方が分かりやすいこともあります。初心者や体験運用者との交信、非常通信などでは、符号に頼りすぎず、誰にでも意味が伝わる言葉を選ぶことが大切です。

通信手順・略語・専門用語は同じものではない

Q符号以外の無線用語は、大きく次のように分類できます。

分類代表例主な役割
一般呼出し・通信手順CQ、DE、K、AR、SK呼出し、送信交代、通信終了などを伝える
CWの略語FB、TNX、PSE、SRI、WX英文を短くして送信時間を減らす
数字による表現73、88、59、599挨拶やシグナルレポートを伝える
呼称・慣用表現OM、YL、XYL、ローカル人や地域を表す
運用上の専門用語DX、パイルアップ、スプリット、スケジュール交信方法や運用状態を表す
設備に関する用語リグ、シャック、リニア、ダミーロード無線機や運用設備を表す

厳密な通信手順と、アマチュア無線文化の中で定着した俗称を区別して理解すると、海外局との交信でも戸惑いにくくなります。

CQ――不特定の局を呼び出す符号

CQは、不特定の無線局に対する一般呼出しです。日本の「無線局運用規則」でも、「各局あて一般呼出し」を表す符号としてCQが掲載されています。

電話交信では、次のように使います。

「CQ、CQ、CQ。こちらはJF9OYU、ジュリエット・フォックストロット・ナイン・オスカー・ヤンキー・ユニフォーム。石川県金沢市から各局を呼び出しています。受信します」

CWでは、次のように送ります。

CQ CQ DE JF9OYU JF9OYU <AR>

「DE」は「こちらは」「~より」に相当し、「JF9OYUが一般呼出しをしています」という意味になります。

CQについては、「Seek Youを縮めたもの」「Come Quicklyの頭文字」など、さまざまな説明を見かけます。しかし、CQは一般的な英語の頭文字を組み合わせた略語として理解するより、「すべての局に対する一般呼出し」と覚える方が確実です。

ARRLは、陸上電信で使われていたCQが無線通信に持ち込まれ、1912年の国際無線電信会議を通じて国際的な一般呼出しとして採用されたと説明しています。また、語源についてはフランス語の「sécurité」に関連するとの説明を掲載しています。

CQを出す前に確認すること

CQを出す前には、使用しようとしている周波数を十分に受信し、ほかの交信に使われていないか確認します。電離層反射を利用するHF帯では、自局から一方の局だけが聞こえ、交信相手が聞こえないこともあります。短時間受信しただけで「誰も使っていない」と判断するのは禁物です。

また、CQを何十回も連続して送るより、CQと自局のコールサインを適度な長さで繰り返し、受信時間を確保する方が応答を受けやすくなります。

IARUの運用ガイドでは、電話によるCQの最後に「オーバー」を付けることは勧められていません。「オーバー」は特定の相手に送信を交代する意味ですが、一般呼出しの段階では、まだ交信相手が決まっていないためです。「受信します」「スタンディング・バイ」「リスニング」などで終える方が自然です。

CQ DX、CQ TEST、CQ JAの違い

CQの後ろに別の言葉を付けることで、呼出しの目的や対象を示せます。

呼出し意味
CQ不特定のすべての局に対する一般呼出し
CQ DX遠距離局を対象とした一般呼出し
CQ JA日本の局を対象とした呼出し
CQ EUヨーロッパの局を対象とした呼出し
CQ NA北米の局を対象とした呼出し
CQ TESTコンテスト参加局に対する呼出し
CQ CONTEST電話部門などで使われるコンテストの呼出し

「CQ TEST」のTESTは、無線機や電波の試験をしているという意味ではありません。この場合はコンテストを表します。JARL主催コンテストでも、電話では「CQコンテスト」、電信では「CQ TEST」などの呼出しが使われます。

地域を限定して呼び出している局に、対象地域外から応答することは控えます。ただし、国内局からの応答を完全に拒絶する強い表現を繰り返すより、必要に応じて短く交信を済ませ、改めて希望する地域を呼び出す方が穏やかな運用になる場合もあります。

DX――遠距離交信を表す言葉

DXは「Distance」や遠距離、外国を表す言葉として使われています。遠距離局との交信を楽しむことを「DXing」、DX交信を中心に楽しむ人を「DXer」と呼びます。

ただし、「何km以上ならDX」という世界共通の距離基準はありません。周波数帯、電波伝搬、地域、運用者の感覚によって変わります。

HF帯では、海外や別大陸、アマチュア無線局が少ない地域との交信をDXと呼ぶことが一般的です。一方、VHF・UHF帯では、見通し距離を大きく超える数百kmの交信がDXとして扱われます。IARUの運用ガイドでは、一例としてHFでは自大陸外やアマチュア無線活動の少ない地域、VHF・UHFではおおむね300kmを超える局を挙げていますが、これは絶対的な定義ではありません。

DXペディション

DXペディションは「DX」と「Expedition」を組み合わせた言葉です。アマチュア無線局が少ない島、地域、DXCCエンティティなどへ運用チームが出向き、世界中の局と交信する活動を指します。

DXCCで使われる「エンティティ」は、必ずしも国際法上の主権国家と同じではありません。地理的・政治的な条件などに基づくDXCC独自の区分があるため、「DXCCの国数」と「世界の国の数」は一致しません。

ロングパスとショートパス

HF帯のDX交信では、地球上の短い経路で届く伝搬を「SP(Short Path)」、反対方向の長い経路で届く伝搬を「LP(Long Path)」と呼びます。

たとえば、日本からヨーロッパへ向かう電波が通常とは反対の方角から強く入感する場合、「ロングパスで聞こえている」と表現します。

73――「さようなら」ではなくBest Regards

73は、交信の終わりに使われる「Best Regards」、つまり「敬意を込めた挨拶」「ご多幸を祈ります」といった意味の数字符号です。単純な「さようなら」よりも、相手への親しみや敬意を含んでいます。

ARRLによると、73の起源は19世紀の陸上電信にさかのぼり、時代によって「愛を送る」「敬意を表する」「私の賛辞を受け取ってください」など、少しずつ意味を変えながら、現在の「Best Regards」へ定着しました。

電話交信では「セブンティースリー」、CWでは数字の「73」を送ります。

TNX FB QSO 73

これは「すばらしい交信をありがとうございました。敬意を込めてご挨拶します」という意味です。

「73s」や「Best 73」は正しいのか

73自体に複数形の「Best Regards」という意味が含まれているため、IARUの運用ガイドでは「73s」「Best 73」「Best 73s」といった表現を避け、「73」とするよう説明しています。

日本では「ベスト73」「73を送ります」という表現も広く使われています。慣用として意味は通じますが、国際的な通信手順を意識するなら、簡潔に「73」とするのが基本です。

88――Love and Kisses

88は「Love and Kisses」を意味する数字符号です。親しい相手への愛情を込めた挨拶として使われます。

JARLの略符号資料では、YLに対して敬意を表した別れの挨拶として紹介されています。ただし、現代の感覚では、性別だけを理由に誰にでも88を送るのではなく、相手との関係や交信の雰囲気を考えて使う方がよいでしょう。

73が一般的な敬意と親しみを表すのに対し、88はより個人的で親密な表現です。初対面の相手や、不特定多数が参加するネットなどでは、基本的に73を使えば問題ありません。

OM、YL、XYLとは

OM―Old Man

OMは「Old Man」の略です。文字どおりに訳すと「年配の男性」ですが、アマチュア無線では、男性の無線家に対する親しみや敬意を込めた呼び方として使われています。

実際の年齢にかかわらず、「DEAR OM」「こんにちは、OMさん」と呼ぶことがあります。特にCWでは、相手の名前が分からないときに便利です。

一方、日本では「ベテラン」「先輩」「年配の無線家」という意味合いが強く、若い男性をOMと呼ぶことに違和感を覚える人もいます。初対面の相手には、コールサインや名前で呼ぶ方が確実です。

YL―Young Lady

YLは「Young Lady」の略で、女性のアマチュア無線家を表します。実際の年齢にかかわらず使われてきた伝統的な呼称です。

OMと同様に、アマチュア無線文化の中で長く使われてきた言葉ですが、すべての人がこの呼び方を好むとは限りません。相手の名前やコールサインが分かっている場合は、それを使う方が自然です。

XYL―妻・配偶者

XYLは、伝統的にアマチュア無線家の妻や配偶者を指します。「ex-YL」、つまり「元Young Lady」と説明されることがありますが、これはアマチュア無線文化の中で定着した慣用的な説明です。

女性のアマチュア無線家をYL、男性無線家の妻をXYLと機械的に分ける説明は、現代の家族関係や価値観に必ずしも当てはまりません。無理に使う必要はなく、「妻」「夫」「パートナー」など、普通の言葉で伝えても問題ありません。

FB、TNX、WX―CWから生まれた代表的な略語

JARLやIARUの資料には、アマチュア無線で使われる代表的な略語が掲載されています。次の表は、CWやデジタル通信でよく見かけるものを中心にまとめたものです。

略語元の言葉意味
ABTAbout~について、およそ
AGNAgainもう一度
ANTAntennaアンテナ
B4Before以前、前に
CFMConfirm確認する
CPY/CPICopy受信する、了解する
CUSee Youまた会いましょう
CULSee You Laterまた後ほど
BCNUBe Seeing Youまた会いましょう
DRDear親愛なる
ESAnd~と、そして
FBFine Businessすばらしい、良好
FERFor~のため、~について
GAGood Afternoonこんにちは
GEGood Eveningこんばんは
GLGood Luck幸運を祈ります
GMGood Morningおはようございます
GNGood Nightおやすみなさい
GUDGood良い
HILaughter笑い、「ハハハ」
HNYHappy New Year新年おめでとう
HPEHope希望する
HRHereこちら、ここ
HWHowどのように
LSNListen受信する、聞く
MXMerry Christmasメリークリスマス
NILNothing、None何もない、受信できない
NRNumber番号
NWNow
OP/OPROperator運用者
PSEPleaseどうぞ、お願いします
PWRPower送信電力
RReceived/Roger正しく受信した
RCVR/RXReceiver受信機
RIGEquipment無線設備、無線機
RPTRepeat繰り返してください
RPRTReportレポート
SRISorryすみません
TKS/TNXThanksありがとう
TRXTransceiverトランシーバー
TUThank Youありがとう
TX/XMTRTransmitter送信機
UFBUltra Fine Business非常にすばらしい
URYourあなたの
VYVeryとても
WIDWith~と一緒に
WKGWorking運用中、交信中
WXWeather天候
YRYear

FB―Fine Business

FBは「Fine Business」の略で、「すばらしい」「良好です」という意味です。

「FBな信号です」「FBなアンテナですね」「TNX FB QSO」など、交信内容、設備、信号、天候などを肯定的に表現するときに使われます。

日本では、FBの反対として「BF」を使うことがあります。しかし、JARLも説明しているように、BFをFBの反対語として使う表現は日本独自の慣用であり、海外局には通じない可能性があります。悪い状態を伝える場合は、「POOR」「BAD」「NOT GOOD」など、普通の英語を使った方が確実です。

TNX、TKS、TU―ありがとう

TNXとTKSはいずれも「Thanks」、TUは「Thank You」を表します。

TNX FER CALL

これは「呼んでいただき、ありがとうございます」という意味です。

TNX FB QSO

こちらは「すばらしい交信をありがとうございました」という、交信終了時の定番表現です。

WX―天候

WXは「Weather」の略です。

WX FINE TEMP 25C

「こちらの天候は晴れ、気温は25度です」という意味になります。CWでは、天候、気温、使用設備などがラグチューの話題としてよく交換されます。

HI、HI HI―CWの笑い声

HIは、CWで笑い声を表す略語です。日本語の「(笑)」や、インターネット上の「LOL」に近い使い方です。

MY ANT VY SMALL HI HI

「私のアンテナはとても小さいです(笑)」という意味になります。

電話交信で「ハイハイ」と発音する人もいますが、もともとはCW上で笑いを表す略語です。相手に通じなければ、普通に笑ったり、「冗談です」と伝えたりすれば十分です。

R、Roger、Copy、Over、Outの違い

R・Roger

CWの「R」は、「正しく受信しました」「受信内容を確認しました」という意味です。電話では「Roger」が使われることがあります。

Rogerは「了解しました」と訳されることが多いものの、厳密には「あなたの直前の送信内容を受信しました」という受信確認です。相手の依頼に同意した、必ず実行するという意味まで含むとは限りません。

Copy

Copyも「受信しました」「内容を把握しました」という意味で使われます。

HOW COPY?

「どのように受信できていますか」という質問です。CWでは「HW CPY?」と短縮できます。

I COPY YOU 100%

「内容を完全に受信しています」という意味です。

Over

Overは「こちらの送信を終え、あなたの送信に移ります」という意味です。交信相手が決まっている通信で使います。

日本語のアマチュア無線では「どうぞ」と言えば十分です。CQの最後にOverを付けると、まだ決まっていない相手に送信を交代することになるため、IARUの運用ガイドでは避けるよう説明されています。

Out

Outは、「こちらの通信を終了し、応答を求めません」という意味です。

映画などで「Over and Out」という表現を耳にしますが、Overは「応答してください」、Outは「応答は不要です」という意味になるため、両方を続けると矛盾します。アマチュア無線では、交信終了時に「73」「これで終了します」「クリアします」などと伝えれば十分です。

RS・RSTレポートの読み方

アマチュア無線では、相手の信号がどのように受信できているかをRSまたはRSTレポートで伝えます。

  • R:Readability(了解度)
  • S:Signal Strength(信号強度)
  • T:Tone(音調)

電話交信ではRS、CWではRSTを使います。

R――了解度

数字了解度
1了解できない
2かろうじて了解できる
3かなり困難だが了解できる
4実用上、困難なく了解できる
5完全に了解できる

S――信号強度

数字信号強度
1微弱で、かろうじて受信できる
2非常に弱い
3弱い
4弱いが受信は容易
5かなり適度な強さ
6適度な強さ
7かなり強い
8強い
9非常に強い

T―CWの音調

TはCW信号の音調を1~9で評価します。1は非常に粗く不安定な音、9は不要な変調やリップルのない、きれいな音調です。

現在の市販無線機ではT9に相当する信号が一般的ですが、電源の不調、送信機の発振不安定、過大入力などがあると、チャープ、ハム音、クリックなどを伴うことがあります。

59と599の意味

電話で使われる「59」は、「完全に了解でき、信号も非常に強い」という意味です。

CWの「599」は、「完全に了解でき、信号が非常に強く、音調も良好」という意味です。

コンテストでは交信を短時間で進めるため、実際の信号状態にかかわらず59や599が慣例的に送られることがあります。しかし、通常の交信では、できる限り実際の受信状態に近いレポートを伝えた方が、相手の設備調整や伝搬状況の把握に役立ちます。

なお、Sは信号強度の評価であり、必ずしも無線機のSメーター表示をそのまま読まなければならないわけではありません。Rは耳で判断する了解度です。Sメーターが大きく振れていても、混信や変調不良で内容が聞き取れなければ、R5にはなりません。

FT8やFT4では、通常のRSTではなく、デコードされた信号のS/NをdB値で交換します。「-10」「-18」といった数字は、RSTのSではありません。

5NNとは

CWコンテストでは、599の「9」を「N」に置き換え、「5NN」と送ることがあります。Nは9よりもモールス符号が短いため、送信時間を短縮できます。このような表現を「カットナンバー」と呼びます。

ただし、通常の交信で無理に使う必要はありません。相手がカットナンバーに慣れていない可能性がある場合は、数字をそのまま送った方が確実です。

CWで使われるプロサインと通信手順

CWでは、通常の略語とは別に、通信の開始、送信交代、待機、終了などを示す手続信号が使われます。英語では「Prosign」と呼ばれます。

ARやSKなどは、AとR、SとKを別々の文字として送るのではなく、文字間の間隔を空けず、ひと続きの符号として送ります。文中では、ひと続きに送ることを示すため「<AR>」「<SK>」のように表記します。

符号意味
DE~より、こちらは
K送信してください、どうぞ
KN指定した相手局だけ送信してください
<AR>送信・メッセージの終わり
<SK>交信の終わり
<AS>少し待ってください
BKブレーク、素早く相手へ送信を渡す
<BT>文や話題の区切り、考えている間のつなぎ
R正しく受信した
<HH>送信を間違えたことを示す訂正信号
<CL>無線局を閉じる、運用を終了する

IARUの運用ガイドでは、AR、AS、CL、SK、HHを文字間を空けずに送るプロサインとして説明しています。一方、BKやKNについては2文字の略語として区別しています。資料によっては、これらをまとめて広い意味でプロサインと呼ぶこともあります。

ARとSKの違い

ARは、その送信やメッセージの終わりを示します。CQの送信を終え、応答を待つ場合などに使います。

SKは、相手との交信そのものを終了する符号です。

したがって、CQの最後は<AR>、交信終了時は<SK>という使い分けが基本です。「AR SK」と連続して送ると、「送信終了、交信終了」という重複した表現になるため、IARUの運用ガイドでは避けるよう説明されています。

KとKNの違い

Kは「どうぞ、送信してください」という意味で、ほかの局がブレークインする余地を残します。

KNは、「現在交信している指定局だけ送信してください」という意味です。交信相手以外の割込みを求めていないことを示します。

CWによる交信例

ここでは、JF9OYUがCQを出し、JA1ABCと交信する例を紹介します。

CQ CQ DE JF9OYU JF9OYU <AR>

「こちらはJF9OYU。各局を呼び出します」という意味です。

JF9OYU DE JA1ABC JA1ABC K

「JF9OYU、こちらはJA1ABCです。どうぞ」という応答です。

JA1ABC DE JF9OYU GM TNX FER CALL UR RST 579 579 NAME DAICHI DAICHI HR KANAZAWA KANAZAWA HW CPY? JA1ABC DE JF9OYU KN

日本語にすると、次のような内容です。

「JA1ABC、こちらはJF9OYUです。おはようございます。呼んでいただきありがとうございます。あなたの信号は579です。名前はDAICHI、こちらは金沢です。どのように受信できていますか。JA1ABC、こちらはJF9OYUです。どうぞ」

交信終了時には、次のように送ります。

TNX FB QSO HPE CU AGN 73 <SK>

「すばらしい交信をありがとうございました。またお会いできることを願っています。敬意を込めてご挨拶します。これで交信を終了します」という意味です。

すべてを一度に暗記する必要はありません。次のような短い定型文から覚えると実際の交信で使いやすくなります。

定型文意味
TNX FER CALL呼んでいただき、ありがとうございます
UR RST 579あなたのシグナルレポートは579です
MY NAME DAICHI私の名前はDAICHIです
MY RIG IC-705私の無線機はIC-705です
WX FINE天候は晴れです
HW CPY?どのように受信できていますか
TNX FB QSOすばらしい交信をありがとう
HPE CU AGNまたお会いできることを願っています
73敬意を込めた別れの挨拶

フォネティックコードとは

フォネティックコードは、アルファベットを聞き間違えないよう、1文字ずつ決められた単語に置き換えて伝える通話表です。

たとえば、JF9OYUは次のように読みます。

Juliett Foxtrot Nine Oscar Yankee Uniform

日本語では、「ジュリエット・フォックストロット・ナイン・オスカー・ヤンキー・ユニフォーム」となります。

国際的に使われる欧文通話表は次のとおりです。

文字単語文字単語
AALFANNOVEMBER
BBRAVOOOSCAR
CCHARLIEPPAPA
DDELTAQQUEBEC
EECHORROMEO
FFOXTROTSSIERRA
GGOLFTTANGO
HHOTELUUNIFORM
IINDIAVVICTOR
JJULIETTWWHISKEY
KKILOXX-RAY
LLIMAYYANKEE
MMIKEZZULU

注意したいのは、Aが「ALPHA」ではなく「ALFA」、Jが「JULIETT」とTが2つ、Xが「X-RAY」と表記される点です。

国内交信では、「ジャパン」「フロリダ」「オーシャン」など、独自の単語を使う局もいます。しかし、海外局や日本語を理解しない相手には通じない可能性があります。IARUも、国際通話表を統一して使い、途中で別の単語に置き換えないよう勧めています。

リグ、シャック、ホームブリュー――設備に関する用語

リグ

リグは、アマチュア無線で使う送信機、受信機、トランシーバーなどの無線設備を指します。

「本日のリグはIC-705です」「どのようなリグをお使いですか」といった形で使います。無線機単体を指すこともあれば、アンテナや周辺機器を含む運用設備全体を指すこともあります。

シャック

シャックは、無線機、電源、パソコン、アンテナ切替器などを設置している無線室や運用スペースです。

独立した部屋でなくても、机の一角に無線設備をまとめていれば「シャック」と呼べます。「ハムシャック」「無線シャック」ともいいます。

ホームブリュー

ホームブリューは、自作した無線機、アンテナ、周辺機器などを表します。

完成品を購入するだけでなく、回路を設計し、部品を集め、動作を確認することもアマチュア無線の大きな楽しみです。市販キットを組み立てたものも、広い意味でホームブリューと呼ばれることがあります。

ベアフットとリニアアンプ

ベアフットは、外部のリニアアンプを使用せず、無線機本体の出力だけで運用することです。

リニアアンプは送信信号を増幅する装置です。単に電力を上げればよいわけではなく、免許された空中線電力、資格の操作範囲、不要輻射、電波障害、電源容量、放熱などを考慮しなければなりません。

アンテナチューナー

アンテナチューナーは、無線機から見たアンテナ系のインピーダンスを整合させる装置です。「チューナー」という名前ですが、アンテナ自体の物理的な共振周波数や放射効率を自動的に改善する装置ではありません。

大きな損失を含むアンテナ系でも、無線機から見たSWRだけを低くできる場合があります。チューナーでSWRが下がったからといって、必ずしも電波が効率よく放射されているとは限りません。

ダミーロード

ダミーロードは、送信機から出た高周波電力を熱として消費し、電波をできるだけ外部へ放射せずに試験するための擬似負荷です。

送信出力の確認、SWR計の試験、無線機の調整などに使います。使用する周波数、許容電力、連続送信時間を確認し、定格を超えないよう注意が必要です。

ラグチュー、アイボール、ローカルとは

ラグチュー

ラグチューは、決められた情報交換だけで交信を終わらせず、趣味、仕事、旅行、天候、無線設備などについて、ゆっくり会話を楽しむ交信です。

英語の「ragchew」「chew the rag」に由来する表現で、アマチュア無線では長めの気軽な会話を意味します。

ラグチュー自体はアマチュア無線の魅力ですが、周波数は共有資源です。呼出周波数や混雑している周波数を長時間占有せず、必要に応じて空いている周波数へ移動します。また、不特定多数が聞いていることを意識し、個人情報や他人を傷つける話題を不用意に送信しないことも大切です。

アイボール

アイボールは、無線で交信するだけでなく、実際に会うことを表します。「アイボールQSO」「アイボールミーティング」とも呼ばれます。

無線イベント、移動運用、ハムフェア、クラブの集まりなどで、日頃交信している相手と直接会う場合に使われます。厳密には電波による交信ではありませんが、アマチュア無線文化の中で定着した表現です。

ローカル

ローカルは、近隣地域のアマチュア無線局や無線仲間を指します。「ローカル局」「ローカル各局」のように使います。

どこまでをローカルと呼ぶかに明確な基準はなく、同じ市町村、同じ都道府県、VHF・UHFで日常的に交信できる範囲など、状況によって変わります。

ワッチ

日本のアマチュア無線では、周波数を受信しながら待機することを「ワッチする」といいます。

英語のWatchに由来しますが、海外では「Listen」「Monitor」「Stand by」などの方が自然に通じます。「433.000MHzをワッチしています」という表現は国内では一般的でも、海外局との交信では言い換えた方がよいでしょう。

スケジュール、ネット、ラウンドテーブル

スケジュール・SKED

スケジュール交信は、あらかじめ日時、周波数、モードなどを決めて行う交信です。CWでは「SKED」と略します。

伝搬実験、遠距離交信、衛星通信、コンテスト前の連絡、毎週決まった相手との交信などで使われます。ただし、予定した周波数がほかの交信に使われている場合、スケジュールを理由に明け渡しを求めることはできません。空いている周波数へ移動する必要があります。

ネット

ネットは、複数の局が決められた周波数と時間に集まり、情報交換や連絡を行う運用形式です。

進行役を「ネットコントロール局」「キー局」と呼びます。参加を申し出ることを「チェックイン」、ネットから退出することを「チェックアウト」と呼ぶことがあります。

ネットには、クラブの定例連絡、非常通信訓練、技術情報の交換、特定の無線方式を楽しむものなど、さまざまな種類があります。

ラウンドテーブル(ラウンドQSO)

ラウンドテーブル(ラウンドQSO)は、3局以上が順番に送信を交代しながら会話する方法です。

誰に送信を渡すのかを毎回明確にしないと、同時送信や沈黙が起きやすくなります。「次はJA1ABC局へお返しします」のように、相手局のコールサインを指定するとスムーズです。

パイルアップとは

パイルアップは、珍しい局、DXペディション局、記念局、コンテスト局などに、多数の局が同時に呼びかけている状態です。多くの信号が重なり、山積みになる様子から「Pileup」と呼ばれます。

パイルアップでは、相手局の運用方法をよく聞くことが何より重要です。

  • どのコールサインに応答したのか
  • 指定地域や番号があるか
  • 同じ周波数で受信しているか
  • UPやDOWNの指定があるか
  • どの局と交信した直後なのか

これらを確認せずに連続して呼ぶと、交信の妨げになります。

DX局が「JA ONLY」と指定している場合は日本局だけが呼びます。「NUMBER 9」と指定している場合は、原則としてコールサインの数字が9の局が呼びます。自局が対象でないときは送信せず、運用の流れを聞きます。

シンプレックス、スプリット、デュプレックスの違い

シンプレックス

シンプレックスは、送信と受信に同じ周波数を使い、交互に送信する通信方式です。通常のHF帯の交信や、VHF・UHF帯の直接交信の多くが該当します。

スプリット

スプリットは、相手局の送信周波数と受信周波数を分けて交信する方法です。大規模なパイルアップで、多数の呼出局がDX局の送信周波数を覆ってしまうことを防ぐために使われます。

DX局が14.195MHzで送信し、「UP 5」と案内している場合、DX局は14.200MHz付近を受信しています。呼ぶ側はDX局を14.195MHzで受信し、自局の送信周波数を14.200MHz付近に設定します。

「UP 5」は、呼ぶ側がDX局の送信周波数より5kHz上で送信するという意味です。無線機のスプリット機能やVFO A・Bの設定を誤ると、DX局の送信周波数上で呼んでしまうため注意が必要です。

デュプレックス

デュプレックスは、異なる周波数を使って送受信する方式です。レピータ通信も、レピータへの送信周波数とレピータからの受信周波数が異なるため、デュプレックスの一種です。

送信と受信を同時に行うものをフルデュプレックス、交互に切り替えるものをハーフデュプレックスと呼びます。一般的なスプリット運用は周波数が異なっていても、同時送受信を行わないハーフデュプレックスです。

DXクラスターとスポット

DXクラスターは、どの局が、どの周波数で、いつ聞こえていたかをアマチュア無線家同士で共有する情報システムです。局の情報を登録することを「スポットする」といいます。

便利な仕組みですが、クラスターに掲載された情報が正しいとは限りません。コールサインの入力ミス、周波数のずれ、運用終了後の古い情報などもあります。

クラスターの情報だけを見て送信するのではなく、必ず自分の耳や画面でコールサイン、運用方法、スプリット幅などを確認します。「クラスターに載っていたから」という理由だけで交信記録に残すことはできません。

コンテストでは、部門によってクラスター利用やセルフスポットの可否が異なります。参加前に必ず規約を確認してください。

コンテストで使われる用語

用語意味
TESTコンテスト
RUN一つの周波数でCQを出し、応答局と連続交信する
S&PSearch and Pounce。バンド内を探してCQ局を呼ぶ
MULTI/MULTIPLIER得点計算に使われる地域や区分
DUPE同一バンドなどでの重複交信
BUSTED CALLコールサインの記録間違い
NIL相手局のログに自局の記録がない状態
EXCHANGEコンテストで交換する情報
SERIAL001から始まる連続番号
CHECK LOG得点申請をせず、審査資料として提出するログ

同じ用語でも、コンテストによってルールが異なります。DUPEの扱い、クラスター利用、送信出力、移動運用、交換ナンバーなどは、参加するコンテストの規約を優先します。

サイレントキー

サイレントキーは、亡くなったアマチュア無線家を表す言葉です。電鍵が静かになったという意味を込め、「Silent Key」「SK」と表現します。

CWの<SK>は交信終了を表す手続信号でもあるため、文脈によって意味が異なります。

訃報や追悼で使う非常に重い言葉です。単に長期間運用していない人や、アマチュア無線を休止した人をサイレントキーと呼ぶことはありません。

「ハム」の語源は頭文字ではない

アマチュア無線家を「ハム」、アマチュア無線を「ハムラジオ」と呼びます。

インターネット上には、HAMが特定の人物名や英語表現の頭文字であるという説がありますが、確かな史料に基づかないものが少なくありません。

ARRLは、初期の商業電信の世界で「ham」が技量の低い通信士を表す言葉として使われ、商業通信士がアマチュア局を批判的に「hams」と呼び、それをアマチュア側が自称として受け入れたと説明しています。

ただし、語源には複数の説明があり、完全に一つの説だけで確定しているとは言い切れません。少なくとも、HAMを現代英語の文章の頭文字に分解して説明する必要はありません。現在の「ham」は侮蔑語ではなく、世界中のアマチュア無線家が自ら使う親しみのある呼称です。

初心者が間違えやすい表現

CQの最後にQRZやOverを付ける

CQは一般呼出しです。QRZは「誰がこちらを呼んでいますか」というQ符号であり、CQの代わりではありません。また、まだ相手が決まっていないため、CQの最後にOverを付ける必要もありません。

73を「73s」と複数形にする

73自体が「Best Regards」という意味です。国際的な運用を意識するなら、73sやBest 73ではなく、単に73とします。

Rogerを「同意しました」の意味で使う

Rogerは基本的に受信確認です。依頼に同意し、実行することまで明確に伝えたい場合は、具体的な言葉で返答します。

何でも59や599を送る

コンテストでは慣例的な59・599が使われますが、通常交信では実際の了解度と信号強度に近いレポートを送る方が有益です。

独自のフォネティックコードを使う

国内では通じても、海外局には通じないことがあります。特に弱い信号や混信のある場面ほど、国際通話表を正しく使うことが重要です。

電話交信で略語を連発する

「WXはFBですがQSBとQRMがあり、リグはQRPです」のように略語を詰め込むと、初心者には伝わりません。「天候は晴れですが、信号に強弱があり、少し混信があります」と普通の言葉で伝えた方が分かりやすくなります。

よくある質問

CQは「Seek You」の略ですか

「Seek You」と音が似ているため、覚え方として説明されることがありますが、正式な英語の頭文字ではありません。無線通信では「各局あて一般呼出し」と覚えるのが確実です。

DXは何km以上ですか

世界共通の距離基準はありません。HF、VHF、UHFなどの周波数帯、地域、電波伝搬によってDXと感じる距離は変わります。

73は「さようなら」という意味ですか

交信終了時に使われますが、単なる「さようなら」ではなく、「Best Regards」という敬意や親しみを込めた挨拶です。

若い人をOMと呼んでもよいですか

アマチュア無線では、実年齢にかかわらず男性無線家をOMと呼ぶことがあります。ただし、相手がその呼び方を好むとは限らないため、名前やコールサインで呼ぶ方が無難です。

女性局には88を送るのですか

88は「Love and Kisses」という親密な表現です。相手が女性だからという理由だけで送るのではなく、関係性や場面を考えて使います。一般的な挨拶には73が適しています。

電話交信でもFBやTNXを使えますか

使うことはできますが、もともとはCWで送信時間を短くするための略語です。電話では「すばらしいですね」「ありがとうございました」と普通の言葉で伝えても問題ありません。

略語をすべて暗記しないと交信できませんか

すべて暗記する必要はありません。まずはCQ、DX、73、FB、TNX、WX、OM、YL、RST、リグ、シャック、スプリット、パイルアップなど、よく耳にする用語から覚えましょう。

まとめ

アマチュア無線で使われる略語や専門用語には、国際的な通信手順、CWを効率化する略語、電信時代から伝わる数字符号、アマチュア無線文化の中で生まれた慣用表現があります。

CQは不特定の局への一般呼出し、DXは遠距離交信、73は敬意を込めた別れの挨拶です。FBは「すばらしい」、TNXは「ありがとう」、WXは天候を表します。OM、YL、XYLは伝統的な呼称ですが、相手や時代に応じた配慮も必要です。

RS・RSTレポート、フォネティックコード、ARやSKなどの通信手順を理解すると、国内外の交信をより正確に聞き取れるようになります。さらに、ラグチュー、スケジュール、ネット、パイルアップ、スプリット、DXクラスターといった用語を知れば、アマチュア無線のさまざまな運用スタイルも理解しやすくなります。

大切なのは、難しい略語を並べることではありません。相手に正しく伝わり、周囲の局にも配慮した交信を行うことです。CWでは略語の簡潔さを生かし、電話では必要に応じて普通の言葉へ置き換える。その柔軟さが、聞き取りやすく気持ちのよいオペレーションにつながります。

関連記事

参考資料

 

本日も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!
SNSでの拡散にもご協力いただけますと大変励みになります!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です