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ラジオは本当に聴かれない?総務省調査で見えた聴取時間・radiko利用率と課題

アマチュア無線局 JF9OYU/ライセンスフリー無線局 いしかわJK946 です。いつもブログをお読みいただきまして、心より感謝申し上げます。

さて、「若者のラジオ離れ」や「ラジオは高齢者のメディア」といった言葉を耳にすることがあります。では、実際にラジオはどのくらい聴かれ、どの年代が利用しているのでしょうか。総務省情報通信政策研究所は2026年6月、「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の報告書を公表しました。テレビ、インターネット、新聞、ラジオなどの利用実態を継続的に追っている調査で、今回が14回目となります。

調査結果をラジオに絞って読むと、確かに受信機などによる従来型のラジオ聴取は、接触する人の割合が縮小しています。しかし、その一方で、実際に聴いている人の聴取時間は1日3時間を超えています。さらに、radikoをはじめとするインターネット経由のラジオ利用は前年より伸びました。そこから見えてくるのは、ラジオが単純に消えつつあるという姿ではありません。「広く浅く届くメディア」から「限られた人に深く届くメディア」へ変化し、放送とインターネットをまたいで聴かれるようになった現在地です。

この記事では、同調査のラジオ関連データを整理しながら、ラジオを聴く側と番組を作る側の双方にとって、何が課題となるのかを考えます。

「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」とは

今回の調査対象は、全国の13歳から79歳までの男女1,800人です。2025年12月1日から7日まで、訪問留置方式で実施されました。利用時間については、対象者が平日2日間と休日1日の行動を15分単位で記録する日記式調査が用いられています。また、利用サービスやメディアの信頼度などはアンケートで尋ねています。

ここで理解しておきたいのが、「平均利用時間」「行為者率」「行為者平均時間」という3つの指標です。平均利用時間は、ラジオをまったく聴かなかった人も含む全対象者の平均です。行為者率は、その日に実際にラジオを聴いた人の割合、行為者平均時間は、聴いた人だけに限定した1日当たりの平均聴取時間を指します。この違いを押さえないと、「ラジオの平均聴取時間はわずか11分」という表面的な読み方で終わってしまいます。

なお、日記式調査の「ラジオ」は、調査票上では「インターネット以外の利用」に分類されています。radikoなどのインターネットラジオは別のアンケート項目で把握されているため、以下の聴取時間だけで、放送由来の音声コンテンツ全体がどれほど聴かれているかを判断することはできません。

ラジオの平均聴取時間は平日11.4分、休日7.3分

全年代のラジオ平均聴取時間は、平日が11.4分、休日が7.3分でした。2020年度は平日15.6分、休日10.0分だったため、6年間の比較では平日が4.2分、休日が2.7分短くなっています。2020年度は新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言下に調査され、ほかの年度とは調査時期も異なるため、単純比較には注意が必要です。それでも、ラジオの行為者率は平日が2020年度の9.2%から2025年度の6.0%へ、休日は6.2%から3.7%へ低下しており、ラジオに接触する人の裾野が徐々に狭くなっていることは読み取れます。

指標平日休日
全対象者の平均聴取時間11.4分7.3分
その日に聴いた人の割合(行為者率)6.0%3.7%
聴いた人だけの平均時間(行為者平均時間)191.1分196.2分

この表で注目したいのは、3段目の行為者平均時間です。ラジオを聴いた人に限れば、平日は191.1分、休日は196.2分で、いずれも3時間を超えています。利用者の割合は小さいものの、一度生活の中にラジオが定着すると、長時間にわたって聴かれる傾向があるのです。平日の6.0%に191.1分を掛けると、全体平均の約11.4分になります。つまり、「平均11.4分」という数字は、多くの人が少しずつ聴いた結果ではなく、少数のリスナーが長時間聴いた結果と考える方が実態に近いでしょう。

ここにラジオの強みと弱みが同時に表れています。強みは、生活習慣に入り込んだ後の接触の深さです。弱みは、新しい人が聴き始める入口が細くなっていることです。

10代・20代の聴取時間は1分未満、60代では平日26.1分

年代別に見ると、ラジオ聴取の世代差は明確です。平日の平均聴取時間は10代が0.1分、20代が0.6分、30代が3.0分、40代が7.2分、50代が13.8分、60代が26.1分、70代が19.3分でした。休日も10代と20代はいずれも0.3分にとどまり、60代が18.7分で最も長くなっています。

年代平日の平均聴取時間休日の平均聴取時間平日の行為者率
10代0.1分0.3分0.7%
20代0.6分0.3分1.1%
30代3.0分1.3分1.9%
40代7.2分6.0分5.5%
50代13.8分8.0分6.2%
60代26.1分18.7分10.9%
70代19.3分10.5分10.8%

従来型のラジオ聴取が60代を中心とするメディアになっているのは事実です。ただし、この結果だけを根拠に「若い世代は音声コンテンツを聴かない」と結論づけるのは早計です。今回の日記式調査では、非インターネットのラジオとインターネット利用が分かれており、ポッドキャストの聴取時間も独立した項目として示されていません。若い世代がラジオ番組や出演者に接触していても、切り抜き動画、SNS、ポッドキャストなどを入口としていれば、従来型ラジオの聴取時間には表れにくいのです。

男女差もあり、平日の平均聴取時間は男性16.0分、女性6.9分、休日は男性9.6分、女性5.0分でした。ただし、この数字から性別そのものを原因と決めつけることはできません。通勤手段、職業、在宅時間、よく聴く番組の有無など、生活行動の違いが影響している可能性があるためです。

ラジオが聴かれるのは夜よりも朝と日中

時間帯別の行為者率を見ると、平日のラジオは7時台と8時台がともに1.8%で最も高く、その後も夕方まではおおむね1%台で推移します。しかし、19時台と20時台は0.4%まで下がります。テレビやインターネットが夜に大きな山を作るのに対し、ラジオは朝から日中にかけて比較的なだらかに利用されている点が特徴です。

調査結果だけで聴取場所や理由を断定することはできませんが、朝の身支度、通勤、自動車での移動、家事、仕事など、別の行動と並行して聴けるラジオの特性が表れたものと考えられます。画面を見続けなくてもよいことは、動画やSNSにはない音声メディアの価値です。一方、休日の行為者率が平日より低いことは、通勤や仕事と結びついた習慣が休みの日には途切れやすい可能性も示しています。

radiko利用率は12.2%、インターネットラジオ全体では13.7%

今回の調査では、radikoなど「インターネットを利用したラジオ放送サービス」の利用率が全年代で13.7%となり、前年度の12.7%から1.0ポイント上昇しました。具体的なサービス名として尋ねたradikoの利用率は12.2%です。年代別では、radikoの利用率は10代4.3%、20代8.3%、30代13.2%、40代16.8%、50代17.2%、60代11.7%、70代8.4%となりました。

年代インターネットラジオサービスradiko
10代5.0%4.3%
20代8.3%8.3%
30代15.3%13.2%
40代19.1%16.8%
50代18.9%17.2%
60代13.5%11.7%
70代9.4%8.4%

非インターネットのラジオ聴取時間は60代が最も長いのに対し、インターネットラジオは40代と50代の利用率が高くなっています。これは、ラジオの利用が受信機からスマートフォンやパソコンへ移ったことに加え、放送時刻に合わせるだけではなく、自分の都合に合わせて番組を選ぶ聴き方が広がっていることを示唆します。

ただし、平日の聴取時間11.4分とradiko利用率12.2%を足して「ラジオ全体の利用」とすることはできません。前者は特定の調査日に実際に聴いた時間、後者は普段利用することがあると回答した割合で、指標も母数も異なります。また、同じ人が受信機とradikoの両方を利用している可能性もあります。今回の報告書が示す重要な点は、従来型聴取が縮小する一方で、インターネット経由の接点が別の形で存在していることです。

ラジオは「第一の情報源」ではないが、使う人からの信頼は高い

ラジオは、情報を得る際の「最も利用するメディア」としては選ばれにくくなっています。「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ために最も利用するメディアとしてラジオを挙げた人は0.9%、「信頼できる情報を得る」では1.0%、「趣味・娯楽に関する情報を得る」では0.4%、「仕事や調べものに役立つ情報を得る」では0.1%でした。検索性と速報性に優れるインターネット、映像と速報を組み合わせるテレビに対し、ラジオが最初に選ばれる場面は限定されています。

しかし、「最近1か月に情報を得たメディア」という複数回答では、時事ニュースで10.8%、気象情報・天気予報で8.8%、スポーツニュースで7.3%、芸能・娯楽情報で5.2%がラジオを利用していました。主役ではなくても、移動中や作業中に情報を補う「第二の情報源」として機能していることが分かります。

さらに興味深いのが、テーマ別の信頼度です。ラジオを使わない人や知らない人まで含めた全体では、ラジオの信頼度は国内の政治・経済問題36.3%、国内の社会問題36.6%、海外ニュース32.4%、原子力の安全性27.6%、東アジアの外交問題28.9%でした。一方、「その情報源を使わない、知らない」と答えた人を除く利用者ベースでは、それぞれ78.6%、78.7%、71.4%、62.4%、66.0%まで上がります。

テーマ全回答者におけるラジオの信頼度ラジオ利用者ベースの信頼度
政治・経済問題(国内)36.3%78.6%
社会問題(国内)36.6%78.7%
海外ニュース32.4%71.4%
原子力の安全性27.6%62.4%
東アジアの外交問題28.9%66.0%

この差は、ラジオの評価が低いというよりも、そもそも利用していない人が多いことを示しています。届けば長く聴かれ、使っている人からは一定の信頼を得ている。しかし、接触したことのない人には価値を知ってもらいにくい。ここにも、現在のラジオが抱える「深さはあるが、入口が狭い」という構造が表れています。

ラジオを聴く立場から見えてくる課題と提言

リスナー側にとっての課題は、「ラジオを聴く」という行為を、放送時刻に受信機のスイッチを入れることだけで捉えないことです。radikoや各局の配信、ポッドキャストなどを使えば、生活時間に合わなかった番組とも接点を持てます。特に10代や20代では、番組名や放送局名を知らなければ検索さえされません。好きな音楽、スポーツ、地域、出演者、テーマなど、自分の関心から番組を探せる導線が必要です。

同時に、ラジオを信頼している人も、それだけを唯一の情報源にしない姿勢が大切です。今回の調査で利用者ベースの信頼度は高かったものの、信頼度は情報の正確さを直接測定した数値ではなく、回答者の評価です。ニュースや災害情報、専門性の高い話題は、公式発表や複数の報道機関と照合することで、ラジオの即時性や分かりやすさをより安全に活用できます。

ラジオを作る立場から見えてくる課題と提言

放送局や番組制作者にとって最大の課題は、既存リスナーの聴取時間をさらに延ばすことより、新しい人が最初の一度を聴くための入口を増やすことです。現在のヘビーリスナーはすでに1日3時間以上聴いています。その人たちを大切にすることはもちろん必要ですが、成長の余地は、行為者率6.0%という小さな裾野の外側にあります。

まず、番組を「放送枠」だけで完結させず、radiko、ポッドキャスト、ウェブ記事、YouTube、SNSを含めた一つのコンテンツとして設計する必要があります。短い動画や印象的な発言で番組を知り、ポッドキャストや聴き逃し配信でまとまった内容に触れ、最終的に生放送へ戻るという循環を作れれば、若い世代にも接点を広げられます。SNSは放送の宣伝板ではなく、番組との最初の出会いを作る編集メディアとして扱うべきでしょう。

次に、ラジオが強い時間と利用状況に合わせた番組作りが求められます。調査では朝から日中の接触が中心で、利用者は長時間聴いています。短い刺激を連続させる動画と同じ競争をするのではなく、移動、家事、仕事などを妨げず、途中から聴いても内容が分かり、長く付き合える構成に磨くことが重要です。そのうえで、番組内で紹介した情報をウェブに掲載し、後から確認、検索、共有できるようにすれば、音声の弱点である検索性と記録性を補えます。

地域のラジオ局には、全国規模の動画サービスが代替しにくい地域情報、人の声、現場との距離の近さがあります。ただし、「地域密着」を掲げるだけでは若い層には届きません。地域で暮らす人が実際に検索する交通、天気、イベント、店、学校、仕事、防災といったテーマを、音声と記事の双方で蓄積し、検索から番組へ流入できる仕組みにする必要があります。

そして、信頼はラジオの貴重な資産ですが、利用者ベースの信頼度も2020年度と比べれば多くのテーマで低下しています。情報源の明示、訂正の分かりやすい告知、ニュースと出演者の意見の区別、ウェブ上での根拠資料への誘導を徹底しなければなりません。「長く聴いてくれるから信頼されている」と考えるのではなく、長く聴かれるメディアだからこそ、説明責任を丁寧に果たす姿勢が求められます。

もう一つ必要なのが、ラジオの実態を測る指標の見直しです。受信機による聴取時間、radikoのライブ・聴き逃し、ポッドキャスト、動画やSNSでの接触を別々に見るだけでは、番組が誰にどのように届いたのかを把握しにくくなります。「何人に届いたか」というリーチと、「どれだけ長く、繰り返し聴かれたか」という深さを横断的に捉え、次の番組作りや広告価値の説明に生かす必要があります。

まとめ ラジオの課題は「聴かれないこと」より「出会われないこと」

令和7年度の情報通信メディア調査では、非インターネットのラジオ平均聴取時間は平日11.4分、休日7.3分、行為者率は平日6.0%、休日3.7%でした。10代、20代の聴取時間は極めて短く、従来型ラジオの裾野が縮小している現状は否定できません。

一方で、実際に聴いた人の平均聴取時間は平日191.1分、休日196.2分に達しています。インターネットラジオの利用率は13.7%に上昇し、radikoも40代、50代を中心に利用されています。ラジオ利用者からのテーマ別信頼度も、おおむね6割から8割近い水準を保っています。

この結果から見えるのは、ラジオの価値が失われたというより、その価値に触れる人が限られてきたという課題です。これからのラジオに必要なのは、受信機かインターネットか、生放送かオンデマンドかを二者択一で考えることではありません。放送で築いた信頼や地域性、長時間聴ける心地よさを守りながら、検索、共有、聴き逃し、ポッドキャストなど、現代の生活に合った入口を増やすことです。

ラジオは「ながら聴きができる古いメディア」ではなく、人の声を通じて長い時間を共に過ごせる、現在も独自性のあるメディアです。その強みを、初めて聴く人にどう届けるか。今回の調査は、ラジオの危機を示すだけでなく、次の成長点が「番組の中」だけではなく「番組との出会い方」にあることを教えています。

よくある質問

令和7年度調査で、ラジオの平均聴取時間はどのくらいですか?

13歳から79歳までの全年代では、非インターネットのラジオ平均聴取時間は平日11.4分、休日7.3分です。ラジオを聴いた人だけに限ると、平日191.1分、休日196.2分となります。

若者は本当にラジオを聴いていないのでしょうか?

非インターネットのラジオ聴取は、10代が平日0.1分、20代が0.6分で、極めて少ない結果です。ただし、今回の聴取時間にはradikoなどのインターネットラジオやポッドキャストが一体的に含まれていないため、若い世代の音声コンテンツ利用全体を表すものではありません。

radikoの利用率は何%ですか?

全年代のradiko利用率は12.2%です。年代別では50代の17.2%が最も高く、40代の16.8%、30代の13.2%が続いています。radikoなどを含むインターネットラジオサービス全体の利用率は13.7%です。

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参考資料

本記事の数値は、上記報告書に掲載された2025(令和7)年度調査結果に基づきます。経年比較については、調査時期の違い、単年度の一時的な変動、2020年度が緊急事態宣言下の調査だったことなどに留意する必要があります。

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